なぜプロメシアンを設立したのか
― 3Dプリンティングがつなぐ、地上と宇宙、そして未来 ―
AMとの出会い ― 月面開発プロジェクトから始まった
プロメシアンを設立するきっかけは、宇宙開発プロジェクトの中にありました。
かつて私は「月面での資源採掘とその利用」というテーマで人工衛星設計コンテストという大会に出場し、その中で必要となる製造機械として開発したのが、世間では「3Dプリンター」と呼ばれるものでした。
その時、私は確信しました。
“これからの製造は、資源の近くで、必要なものを、必要な時に作る時代が来る”
そう感じたことが、私とAdditive Manufacturing(AM/積層造形)の原体験です。

3Dプリントは宇宙開拓時代の基礎になる
学生時代 ― 品質保証という視点
大学時代には、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の3Dプリント材に対する評価手法の研究を行いました。
品質保証という視点は、やがて製品の信頼性や保証の在り方を根本から考えるきっかけになります。
この経験は、AMにおける「品質保証が難しい」という根本課題と向き合う姿勢の礎となりました。
精度と信頼性のあるものづくりを未来に残すにはどうすればいいのか――
この問いが、私の原動力の1つとなっています。

評価方法の研究は約600件の引用と共に高く評価されている
スタートアップ時代① ― CTO・PMとしての成長
学生時代から参加していたスタートアップ「3D Printing Corporation」では、CTOとして技術開発や新規事業に関わる一方で、国土交通省のSBIR(研究開発型中小企業支援事業)他のプロジェクトマネージャー(PM)として提案・運営・報告までを一貫して担いました。
また、経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプロ)の申請やGO-TECHの採択など他の技術助成申請も多数経験し、公的資金を活用した研究開発のマネジメントに関しても実践的な知見を得ることができました。
これらの経験は、創業後のプロジェクト推進において大きな財産となっています。

国交省SBIR採択事業の特集記事(CSOは当時の肩書)
スタートアップ時代② ― 製造主権と現実への気づき
この頃、複数の在日米軍基地(嘉手納・横須賀・佐世保・横田など)を訪問する機会がありました。
なかでも嘉手納基地では、広大で整備された敷地、十分なインフラ、ゆとりある設備に強い印象を受けました。
基地におけるものづくりや修理、ロジスティクスの運用体制は、有事にも機能し続ける「仕組みの強さ」を体現しており、私はそこで一つの現実に気づきました。
それは、「本当に強い製造基盤とは何か」という問いです。
この体験から私は、災害や地政学リスクにも耐えうる、分散型かつ独立性の高いものづくりの仕組みを日本に根付かせる必要があると強く感じました。
先進的な取り組みから学び、自国の製造基盤を自らの手で育てていくことが、重要だと信じています。

開発初期を支援したUSAFのプロジェクト「K-Wedge」
プロメシアンを設立した3つの理由
① 有事にも耐えうる、独立したAMエコシステムを作る
地震やパンデミック、さらには地政学的緊張など、世界はいつでも不安定な状況に変わる可能性があります。
こうした有事には、国際物流や部品供給といったサプライチェーンが寸断され、製造活動が一瞬で停止するリスクがあります。
だからこそ今、必要なのは材料から製造・修理までを地域内で完結できる、分散型かつ自立的な製造システム=AMエコシステムです。
プロメシアンは、その構築と社会実装を目指して設立されました。

3Dプリント技術は分散化により特徴的な価値を発揮する
② 日本の中小製造業を“ベースアップ”する
プロメシアンは、単なる3Dプリント工房ではありません。
日本各地の中小企業がAMをインフラとして活用できる社会基盤を構築することで、
技術的にも、経済的にも、“底上げ”を図ることを目指しています。
設計の自動化や品質保証技術の普及を通じて、「高品質な製品を、より速く、より安く」提供できるよう、支援を続けていきます。

インフラ化した3Dプリント技術は中小企業を底上げする
③ 宇宙開拓時代に通じる、AM産業の未来を育てる
いずれ、宇宙での製造・建設が当たり前になる時代が来ます。
その時、日本がAMで貢献できる土壌を今から育てる必要があります。
プロメシアンは、「地上での実証」から「宇宙での運用」へつながる技術基盤の開拓を使命とし、次世代のための製造文化を創っていきます。

宇宙空間で3Dプリントの貢献を最大化するためには地上での成熟が不可欠
最後に ― 技術を受け継ぎ、未来を拓く
私たちはまだ小さなチームです。
しかし、私たちには一貫した信念があります。
ものづくりの基盤を強化し、それを次世代に引き継ぐこと。
技術は、人から人へと受け継がれていく文化です。
その文化を守り、進化させることが、プロメシアンの存在意義だと考えています。
もしあなたがこの信念に共感してくださるなら、ぜひ声をかけてください。
技術者として、事業パートナーとして、あるいは応援者として。
プロメシアンは、あなたとともに、未来をつくっていきます。

代表
古賀 洋一郎